ふたつの羽根

「コウキに電話して有亜ちゃんに教えてもらった」

「そっか…」



所詮、あたしの居る所は家かあの階段しかない。


しばらく歩き、交差点を抜けてすぐ陸は駐車場と書かれてある所に足を踏み入れた。 


あたしはキョロキョロ辺りを見回すと、そこは当たり前に車ばかり止めてある所だった。 


陸はズボンのポケットに手を突っ込み何かを握って取り出した。


チャリン…


と言う音はどう見たって車の鍵だ。


一台の白いセダンの前に足を止めると手に持っている鍵のボタンを押す。


陸はドアを開けて運転席に座り、立ち止まるあたしを見て中から助手席のドアを開けた。 


…えっ?!


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