ふたつの羽根
「里奈、何つったってんだよ!早く乗れよ」
「えっ…あ、うん」
戸惑いながら、あたしは助手席に座りシートに背を付ける。
エンジンをかけ発進しようとする前にあたしは声を張り上げた。
「ちょ、…ちょっと待ってよ」
「何?」
「何って…えっ?車って無免許じゃん」
静まり返った車内に、あたしの声だけが響き渡る。
陸はうっすら笑い「大丈夫」と言って車を発進させる。
「ちょ、大丈夫って…」
大丈夫なわけないじゃん!
「免許もってなかったら乗んねぇよ!俺、免許あるし」
はっ?
免許あるしって、どう考えてもまだ5月の後半なんだけど…
「えっ、けどまだ5月だよ」