ふたつの羽根
「誕生日4月の初め。だから3月から行ってた」
「えっ、そーなんだ」
少しホッとしたあたしは胸を撫で下ろす。
車を運転する陸の横顔は想像以上にあたしはドキドキして、その横顔すら見れなくなって、ただずっと左を向いて外ばかり見ていた。
交差点にもう一度入り、街の街灯と街の明かりがキラキラと輝きを増す。
車内についているデジタル時計を見ると19:50を示していた。
どれぐらい車に乗っているのかも分からず、ただあたしは、ずっと外の街並みを見ていた。
街のネオンが途切れて曲がりくねった山道をひたすら走って、しばらくして着いた所は車が何台か置ける広場だった。
「着いた」