ふたつの羽根
街の明かりを見ながらボソボソと言うあたしに「親、嫌い?」と陸はあたしに目を向ける。
「嫌いじゃないよ。パパも嫌いじゃなかったし」
「今は?」
「えっ?」
「実の父親に会いたい?」
あたしは首を傾げながら「どーだろ…」と呟く。
しばらくの間、沈黙が続き「でも…」とあたしは口を開く。
「会って見たいかな。あー…でも今のパパに悪いかな」
うっすら笑う陸は「どっちだよ」と小さく声を漏らす。
辺りは真っ暗で少し肌寒い風が周りの草木をソヨソヨと揺らす。
目の前に広がる光は人間が作りだした光なのに、あたしにはその光なんてないと思った。
「影が多いよ…」