ふたつの羽根
陸は組んでいた腕を離し大空に向かって指差す。
その方向を辿るようにして見上げると空一面に散らばる小さな光が充満していた。
「綺麗…」
不意に出た言葉に陸はうっすら笑う。
「綺麗って思うんなら里奈の中にも光はあるんじゃね?それ以上に上の光と下の光で影なんて押し潰されてなくなるんじゃねーの」
本当に影なんか無くなるんじゃないかって思うぐらい街の明かりと空の輝きは凄く綺麗で…
思わず陸の言葉に、あたしは手すりに置いている両腕の中に顔を埋める。
いつだって、そうだ…
いつだって陸はあたしの心を動かすんだ。
クールな顔して、それ以上にあたしの心を動かす。
その優しさが涙となって、あたしの目から落ちてくる。