ふたつの羽根

「ねぇ拓真、この子って拓真の女?それとも…陸の女?」 


腕を組み、あたしと拓真先輩の顔を交互に見つめてくる。 


その彩乃さんの視線とぶつかり合った瞬間、あたしはすぐに目を逸らした。


「だったらどーする?」

「えっ?」

「陸の女だったらどーする?」 


拓真先輩は、いつもと違った目付きで低い声を出す。


2人の視線がぶつかり合う中、彩乃さんのフッと笑う声が、この空気を不快にさせる。


「どーするって…もしそうだとしたら引き離すに決まってんじゃん」


…えっ、何この人。


あたしから口を開く事は到底、無理な事でただ唇を噛み締める事しかできなかった。 


さっきとは別で真剣な顔をして言う彩乃さんとは逆に拓真先輩は口元の先端を上げる。 


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