ふたつの羽根
いつか有亜が言ってた。
“恋に完璧な人はいない”
“全てが上手くいってたら凄いよ”
って言ってた。
そんな言葉、有亜には無縁だと思ってた。
だから今まで弱音を吐かなかった有亜を見て思った。
その時から何かを抱えていたのかもしれない。
気付かなくてごめん。
「大丈夫なの?」
有亜は抱え込んでいた頭をすぐに上げ呆れた様子で息を吐いた。
「そんな事、里奈に言われたくなーい!あたしの心配より自分の心配してよね」
“好きなのに別れを告げてんじゃないよ”
そう吐き捨てて付け加えられた言葉は、どことなく苦しさを増す。
でもそうだよ。あたしは陸が好きだよ。だから伝えよう…
陸しか居ないから。
有亜が帰った後、バタンとベッドに倒れ込み布団の中に潜り込んだ。