ふたつの羽根

数日後。


「あっ、里奈ちゃん」


朝いち3年生の教室の中を覗き込むなり、拓真先輩が大きく手を振って声を上げた。 


そのせいで他の先輩達は、すぐにあたしの方に視線を移す。


げっ…


やっぱし来るんじゃなかった。さすがに3年生の教室はキツイ…


覗かせていた顔をすぐに引っ込めると「どーした?」と言う声とともに拓真先輩の顔が目に飛び込んできた。 


「あっ、久しぶりですね」 

って、あたし何言ってんだろ。


「うん久しぶり。元気?」 

コクンと頷くあたしに「どした?」と再度、拓真先輩は聞いてくる。


「あっ、あの…」


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