ふたつの羽根
ふざけんじゃないよ!
今まで我慢してた、あたしがバカみたい。
純也から返ってくる言葉が怖いって思ってたけど全然怖くもないし、しかも涙すら出ないや。
あたしはグッと唇を噛み締めて顔にかかっている髪の毛をそっと指で除ける。
「大丈夫?」
突然どこからかともなく聞こえてきた声に、あたしは辺りを見回す。
通りすがりの人達はいるけど声を掛けてきた人はいない…
もう一度、辺りを見回していると「こーこ」と言う声が聞こえてきた。
あたしは声の方へ足を向けると急斜面の芝生に寝転がっている一人の男が目に入った。
目を隠すように置いている左腕をスッと離し、その男は立ち上がった。