ふたつの羽根
「すっげー敬語。ってか敬語使わなくてもいーけど…里奈ちゃん」
里奈ちゃん。
突然、自分の名前を呼ばれてビックリするあたしは彼に目を向ける。
「何であたしの名前…」
呟くようにして言うと「だって、さっきアイツ言ってただろ?」とその人は純也が消えた方に目を向けた。
げっ!そう言えば…
さっきの会話、全てこの人に聞かれていた。
最悪にもほどがありすぎる…
忘れてほしい…
とにかく忘れてほしい。
「あのっ!さっきの事…」
「暇してんならちょっと付き合って。喉乾いた」
あたしの言葉を遮って彼は足を進める。
大空に両腕を伸ばし下ろしてすぐ「来ねーの」と彼は振り返った。