ふたつの羽根

陸は深く椅子の背もたれに背をつけポケットからタバコの箱とジッポを取り出す。

箱の中から一本取り出し口に銜えてすぐ「あっ…」と声を漏らしタバコを口からはなす。


「吸っていい?ってかタバコ吸うほう?」


あたしは陸の顔を見て自分の顔の前で素早く手を振る。

陸は頬杖をついたまま指にタバコを挟んだまま軽く笑う。


「それはどっちの?」

「えっ?」

「すっちゃ駄目なのか…タバコを吸わないのかって言うか俺の質問の仕方が悪いか」


自分で何度か頷く陸を見てフッと、あたしは笑って口を開く。

「吸っていいですよ。でっ、あたしは吸わないほう」


頷く素振りを見せて陸はタバコを銜えカチッと小さな音と同時にタバコの先端が赤くなった。




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