ふたつの羽根

どれくらい時間が経ったのか分からない時に「げっ!すごっ…」と有亜の声が耳に入ってきた。

「えっ何?」

有亜に目を向けると、あたしのパソコンの画面をトントンと人差し指で叩く。

スッと目線をずらしてすぐ「うわっ!」と、あたしの口から声が漏れた。

画面いっぱいに広がる文字。


偶然。

必然。

その繰り返しが画面を埋め尽くすぐらい自分で打っていた。


「なんか目がクラクラする」


有亜は目を押さえながら視線を外す。

ほんっとクラクラしてくる…

あたしはすぐにBackspaceを長押しにして一瞬にして全部消す。

真っ白になった画面を見てフーっと息を吐いた。

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