ふたつの羽根
どう見ても3年生に見える。
まぁ田上も初め見た時3年生と勘違いしたけど。
「あっ…そうなんだ」
「里奈ちゃん座んなよ」
拓真先輩はベンチに指差しくわえていたタバコに火を点ける。
フーっと吐いた拓真先輩の煙を見ながらあたしは田上の横に腰を下ろした。
「はい。これあげる」
目の前で胡坐を掻いて座る陸が腕を伸ばし手に握っている物を差し出す。
あたしがずっと見ていると「コーヒー飲める?」と言ってきた。
「うん」
「じゃあ、やる」
あたしは陸の手に握られている缶コーヒーを受け取り「ありがとう」と両手で握りしめた。
そして恐る恐る目線をあげ「あのですね…」とあたしは本題を切り出した。