ふたつの羽根

「何でここに居るんですか?」 


隣に座る田上がブッと吹き出し、あたしは眉を寄せて田上を見る。


「すげー質問」


確かに確かにそうだけど… 

頬を膨らませるあたしに圭介君も拓真先輩も声にだして笑う。


その笑い声にかき消されるかのように「何でって…俺ここの生徒」と陸は呟く。 

「ですよね…」


陸はうっすら笑って「ですね」と胡坐を崩し両膝を立てる。

ジッポのフタをカチンカチンと閉めたり開けたりする陸の手元を見ながら「昨日の…」とあたしは声を漏らす。


「えっ昨日?」


目線をあげる陸を見てあたしは頷く。


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