ふたつの羽根
眉を寄せるあたしに「お前な…」と田上が口を開いた。
「お前…場所考えろよ」
あたしはムカッときて田上を睨み付ける。
「睨むなよ」
呟くようにして言う田上から、あたしはスッと視線を外し頭を下げた。
だって…
昨日はそれどころじゃなかったんだもん。
アイツ…
アイツが…
“里奈が告ってきたから付き合った”
ムカツクぐらい頭に流れ込むアイツの声…
もー嫌!嫌!
「ごめんって」
田上がコクンと頭を下げてすぐ「里奈ちゃん大丈夫だって」と明るい拓真先輩の声が耳に入った。
「何がですか?」
弱々しい声を出すあたしに拓真先輩はケラケラ笑いながら口を開く。