ふたつの羽根
ううん…違う。
あたし達じゃなくて隣にいる陸だ。
改めてモテる陸を確信し、あたしは小さく息を吐く。
肩を並べて歩き川原沿いを渡りきってすぐ、あたしは目線を上にあげる。
昨日とは反対方向…
どこ行くんだろう。
「ねぇ?」
「ん?」
首を傾げて陸は少し体をあたしの方に向ける。
その拍子に緩めに付けているネクタイが風でユラユラと揺れる。
「どこ行くの?」
「ひみつー」
陸はうっすら笑い、ひたすら足を進める。
交差点に入ると、さっきよりも人は溢れかえる。
その交差点の表通りから迷路のように連れなる細い道の途中で陸は足を止めた。
「ここ」
陸の指差す先は下りの階段が何段かあり、その一番下に見えるのは一つの扉。