ふたつの羽根
「おせぇよ」
大音量と交じって叫ぶのは拓真先輩だった。
ちょっと小綺麗なカウンターに立って、何かをカシャカシャと振っている。
「わりぃーな」
そう言って陸は呆然とするあたしの背を押しカウンター前の椅子に座らせる。
目の前の拓真先輩を見ると先輩はニコっと微笑み手にしているシェーカーを器用に振っている。
その後ろの棚には何か分からないビンが大量に窮屈そうに並べてある。
あたしはこの中を一周するかのように見渡した。
黒の長いソファーがガラステーブルを囲むようにして2つ置かれていて、大きなステレオ。
そしてダーツにビリヤード台。
それを見た瞬間「あっ…」と声を漏らし目線は止まる。