ふたつの羽根

2人の男が真剣な目付きで球を弾き合う。

その男は田上と圭介君だった。 


ここは一体、何?

昨日、拓真先輩が“行く”って言ってた場所はきっとここだと思った。


本当にまるで誰も知らない隠れ家みたい。 


「ここって何?」


あたしは体を前に戻し陸と拓真先輩を互いに見る。

陸はくわえたタバコに火を点け首を傾げながら煙を吐く。


その宙に回った煙を見ながら「くつろぎ場かな…」と言って、またタバコを口にくわえる。


くつろぎ場…

まぁ確かに、そう言う雰囲気だろう。


「なんつーか俺らの先輩から使われていた場所」


陸の言葉に拓真先輩は頷き、あたしの目の前にグラスを置き「先輩っつっても里奈ちゃんが知ってる人」と微笑む。


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