ふたつの羽根

「えっ?あたしが知ってる人?」


何回か頷く拓真先輩を見てから隣に居る陸に目を向ける。


「後でご対面ってやつ」 

陸はうっすら笑い「飲めば?」とあたしの目の前に置かれているグラスに指差す。 


言われた通り、さっき拓真先輩が置いたグラスに触れる。 

グラデーションのように赤から薄いピンクの色が広がり、ほんのり甘い香りがスッと溶け込むようにして鼻に入り込む。


グラスに鼻を近付け甘い香りを匂いながらそっとグラスに口をつける。


フワっと口の中に広がる美味しさから「美味し…」と思わず声を漏らす。


だけど口に含んで、ふと思った。

これって酒じゃ… 


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