ふたつの羽根

「これってカクテルってやつだよね?」

「ピンポーン!正解。俺の特製のやつ」


ピンポーンって…

拓真先輩は声を上げ緩めに付けているネクタイを片手でスッと取り後ろの台にポイッと投げる。


グラスを洗う拓真先輩を見て「いいの?こんなの飲んでて…」と、あたしは口に含む。


「いいのって、お前飲んでんじゃん」


何度もグラスを口に運ぶあたしに陸は軽く笑いタバコを灰皿に押し付けながら言ってきた。


「そーだけどさ…」


呟くように言うと「でも旨いっしょ?」と拓真先輩は口元の先端を上げる。



頷いてすぐ後ろから「お前っっ!」と叫び声が聞こえた。 

テーブルに片手を置き回転する椅子を体ごと後ろに向け、あたしはビリヤード台に目を向ける。


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