ふたつの羽根
田上と圭介君がぶつかり合っている。
どちらかと言えば圭介君が笑っていて田上が眉を寄せている。
「あ゛ー!!」
田上が声を上げてビリヤード台に手を付きあたしに目を向ける。
「あっ里奈来てたん?交代して」
「えっ無理だよ。できないっ!ってか負けたの?」
「負けてねぇって!圭介がセコイ技つかうんだって」
眉を寄せる田上を見て「俺より先に雅人がしたんだろ」と圭介君はため息をつきながら台に手をつく。
そんな光景に苦笑いをしながら笑っていると「はーい。俺、俺」と明るい声が耳に飛び込む。
カウンターからヒョイと出て来た拓真先輩は高々と手を上げ「チェンジ」と言って田上と代わる。