ふたつの羽根

「まぁ有亜ちゃんも座んなよ」


陸が言った言葉に有亜は「あっ、はい」と返す。


そして有亜の横に立っている人を見上げると、もちろん当たり前に知り尽くしている人だった。


「コウキさん…」

「あっ里奈ちゃん久しぶりってか、この前会ったか」 


有亜の彼氏であるコウキさんはうっすら笑い陸の隣の椅子に腰を下ろす。

そう言えばコウキさんって同じ学校だったか…

あたしはハッとして隣に座る有亜を見て口を開く。


「ちょっと有亜!ここの事もさ、陸達の事も知ってたんなら教えてよ」


有亜は自分の顔の前で何回か手を振り肩に掛けていた鞄を下におろす。


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