ふたつの羽根
授業中、田上が教科書を忘れた事によって、あたし達の机はピタッとくっついた。
教科書を見ると言っても隣の田上は顔を伏せて寝ているだけだ。
別に田上の恋愛思考が気になるわけじゃないけど、何か気になり何も書かれていないノートにペンの先をくっつけ進ませた。
“田上って何で誰とも付き合わないの?ダルイとか?”
書き終えた後、あたしは田上の肩をトントンと叩く。
田上は「ん?」と声を漏らし端正な顔がスッとあたし側に向く。
軽く人差し指でノートを突くと覗き込むようにして田上は顔を上げる。