ふたつの羽根
書いた文字に戸惑う様子もなく眠そうな目を擦りながら右腕をスッと伸ばし、あたしが握っているシャーペンを奪い取り手を動かす。
書き終わった田上の文にあたしは拍子ぬけした。
“ダルイってアイツじゃあるまい。つーかアイツとどーなってんだよ!”
あたしが田上に聞いてるのに逆に田上から聞かれているあたしって何?
しかも、また今さらアイツの事を言ってくるなんて…
あたしは思わず深いため息をつく。
ノートを見つめ眉を寄せるあたしに「おーい」と今度は声が返ってくる。
田上の声が耳に入った瞬間「終わってるよ!ってかウルサイよ」と叫んでいた。