ふたつの羽根
手と同時に目線を下ろすと3階には目がいくわけで、その位置で一瞬とまった…
そこから目を瞑って、ゆっくり自分の足元まで目線を下げる。
紙パックを両手で握り「あたしさ…」と口を開く。
「なんて言うか、恋には向いてない気がする…」
有亜は無くなったパンの袋をクシャっと握り、紙パックのストローを口にくわえる。
全部飲み終えたパックと一緒にパンの袋もベンチの横にあるカゴにポイッと有亜は投げ捨てた。
「ってか、そんな恋に完璧な人は居ないでしょ…。全てが上手くいってたら凄いよ」
チャイムの音を聞きながら有亜は立ち上がり足を進めて行く。