お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
永亮の前で高臣さんの名前を出すのは、少し微妙な空気になってしまうかと思ったが、私は正直に説明する。
永亮は高臣さんの名前を聞いて、一瞬嫌そうな顔をしたが、それ以上深くは突っ込んでこなかった。
もしかしたら、この先ずっと永亮とギクシャクしたままなのではと思っていたから、今こうして普通に接してもらえたことに心底安堵している。
そんな気持ちが顔に駄々洩れてしまったのか、永亮は紙袋を持っていない方の手で、私の頭をこつんと叩いた。
「フッた相手に余計な気を遣ってんじゃねー。普通に接しろって言ったのはお前だろ」
「うっ……、そうです」
「もっと実家で和菓子作りの練習したいんだろ。お前の家なんだからいつでも来い」
「うん、ありがと」
私が最近お店に行きづらくなっていたことを、永亮は察してくれていたのだ。
自分から今まで通りにしてほしいとお願いしておいて、永亮を自然と避けていたなんて、ひどいことだ。
私は最近の自分を反省し、一瞬目を伏せる。
それから、パッと顔を上げて、永亮の目を真っ直ぐ見て告げた。
「私、高梨園二号店、ちゃんと成功させたいって思ってる。だから、永亮にも色々力を借りるときもあると思う」
「なんだよ、今さら」
「その気持ちと同じくらい、高臣さんとも真剣に向き合おうって思ってる。だから、頑張るね、私」
そう言って笑顔を向けた瞬間、ゴーッという轟音が駅構内に響き渡った。
驚き駅の外を見ると、滝のような雨が降り始めている。
さっきまでカラッと晴れていたというのに、これはいったい……。
「ひどい雷雨だな」
「え……。待って永亮、雷も鳴ってるの……?」
「お前、ホテルまで足あんのか?」
「だ、大丈夫! タクシーですぐだって聞いたから」
「いや、タクシーって言ってもお前……」
永亮が、呆れた顔で八条口のそばにあるタクシー乗り場を指さしている。
突然の雷雨にタクシーを待つ観光客が、すでに長蛇の列を作っていた。
「今日は花火大会もあったしな……人がいつもより倍だ」
「なんてことだ……。永亮と無駄な立ち話なんかしてないで、すぐにタクシーに乗っていれば……」
「お前、俺になら思ったことなんでも言っていいと思ってるよな」
高臣さんが仕事先からホテルに戻ってくるのは、今から一時間後だと聞いている。
永亮は高臣さんの名前を聞いて、一瞬嫌そうな顔をしたが、それ以上深くは突っ込んでこなかった。
もしかしたら、この先ずっと永亮とギクシャクしたままなのではと思っていたから、今こうして普通に接してもらえたことに心底安堵している。
そんな気持ちが顔に駄々洩れてしまったのか、永亮は紙袋を持っていない方の手で、私の頭をこつんと叩いた。
「フッた相手に余計な気を遣ってんじゃねー。普通に接しろって言ったのはお前だろ」
「うっ……、そうです」
「もっと実家で和菓子作りの練習したいんだろ。お前の家なんだからいつでも来い」
「うん、ありがと」
私が最近お店に行きづらくなっていたことを、永亮は察してくれていたのだ。
自分から今まで通りにしてほしいとお願いしておいて、永亮を自然と避けていたなんて、ひどいことだ。
私は最近の自分を反省し、一瞬目を伏せる。
それから、パッと顔を上げて、永亮の目を真っ直ぐ見て告げた。
「私、高梨園二号店、ちゃんと成功させたいって思ってる。だから、永亮にも色々力を借りるときもあると思う」
「なんだよ、今さら」
「その気持ちと同じくらい、高臣さんとも真剣に向き合おうって思ってる。だから、頑張るね、私」
そう言って笑顔を向けた瞬間、ゴーッという轟音が駅構内に響き渡った。
驚き駅の外を見ると、滝のような雨が降り始めている。
さっきまでカラッと晴れていたというのに、これはいったい……。
「ひどい雷雨だな」
「え……。待って永亮、雷も鳴ってるの……?」
「お前、ホテルまで足あんのか?」
「だ、大丈夫! タクシーですぐだって聞いたから」
「いや、タクシーって言ってもお前……」
永亮が、呆れた顔で八条口のそばにあるタクシー乗り場を指さしている。
突然の雷雨にタクシーを待つ観光客が、すでに長蛇の列を作っていた。
「今日は花火大会もあったしな……人がいつもより倍だ」
「なんてことだ……。永亮と無駄な立ち話なんかしてないで、すぐにタクシーに乗っていれば……」
「お前、俺になら思ったことなんでも言っていいと思ってるよな」
高臣さんが仕事先からホテルに戻ってくるのは、今から一時間後だと聞いている。