お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
さすがに、一日中観光していた私が遅れて到着するなんてことは、失礼だろう。それに、お食事の時間もそのくらいに合わせていると聞いていたから、遅刻するわけにはいかない。
高臣さんはそんなことで怒ったりはしなさそうだけれど……。
車で十分の場所なら、歩いて一時間半ほど。タクシーを待っていても、同じくらい時間がかかってしまいそうだ。
「永亮。レンタル……サイクルって、どこにあるかな……あとレインコート……」
「お前が今何を考えているのか把握した。ずぶ濡れの女が部屋で待ってたら怖いから止めておけ」
「結構、足の筋力に自信あるんだよね。ほら、お店の周り坂道多いじゃん」
「いや、そういう問題じゃねぇだろ。普通に送ってくから」
「えっ、いいよ!」
そうか。永亮は車で京都駅まで来ていたのか。
ちょうど駐車場に向かおうとしていた途中だったと、さっき言っていた気がする。
この大雨なので本当は乗せてもらいたい気持ちが大きいが、永亮と車で二人きりになってもいいのだろうか……。
高臣さんに対して失礼なような気がして、私は反射的に永亮の提案を断った。
しかし、永亮は私の腕を掴んだまま離さずにぐいぐい進んでいく。
「ずぶ濡れになるって分かってるのに放っておく方が、俺が高臣さんに怒られんだろ」
「で、でも……」
「俺が告白する前のお前なら、タクシーのように俺のこと使いまわしてただろうが」
そう言われてしまうと、私は何も言い返せなくなってしまった。
変に意識しすぎる方が永亮に失礼だと、分かってはいるけれど、判断が難しい。
私は、「待って」と言って一度立ち止まると、高臣さんにメッセージを送った。
『偶然、幼なじみの永亮と駅で鉢合わせまして……。突然の雷雨でタクシーが捕まらず、永亮に車でホテルまで送ってもらってもいいでしょうか』と、要件のみを高臣さんに伝える。
すると、すぐに既読になり、『もちろん。気を付けて』と返ってきた。
私はホッとして、大人な高臣さんに心から感謝した。そして、変わらず接してくれる永亮にも。
「言ったそばからお世話になってごめん! 送ってください……!」
「最初からそう言え」
そうして、永亮に案内されるがままに、私は駐車場に向かった。
傘を差していても意味がないくらい横殴りの雨。
高臣さんはそんなことで怒ったりはしなさそうだけれど……。
車で十分の場所なら、歩いて一時間半ほど。タクシーを待っていても、同じくらい時間がかかってしまいそうだ。
「永亮。レンタル……サイクルって、どこにあるかな……あとレインコート……」
「お前が今何を考えているのか把握した。ずぶ濡れの女が部屋で待ってたら怖いから止めておけ」
「結構、足の筋力に自信あるんだよね。ほら、お店の周り坂道多いじゃん」
「いや、そういう問題じゃねぇだろ。普通に送ってくから」
「えっ、いいよ!」
そうか。永亮は車で京都駅まで来ていたのか。
ちょうど駐車場に向かおうとしていた途中だったと、さっき言っていた気がする。
この大雨なので本当は乗せてもらいたい気持ちが大きいが、永亮と車で二人きりになってもいいのだろうか……。
高臣さんに対して失礼なような気がして、私は反射的に永亮の提案を断った。
しかし、永亮は私の腕を掴んだまま離さずにぐいぐい進んでいく。
「ずぶ濡れになるって分かってるのに放っておく方が、俺が高臣さんに怒られんだろ」
「で、でも……」
「俺が告白する前のお前なら、タクシーのように俺のこと使いまわしてただろうが」
そう言われてしまうと、私は何も言い返せなくなってしまった。
変に意識しすぎる方が永亮に失礼だと、分かってはいるけれど、判断が難しい。
私は、「待って」と言って一度立ち止まると、高臣さんにメッセージを送った。
『偶然、幼なじみの永亮と駅で鉢合わせまして……。突然の雷雨でタクシーが捕まらず、永亮に車でホテルまで送ってもらってもいいでしょうか』と、要件のみを高臣さんに伝える。
すると、すぐに既読になり、『もちろん。気を付けて』と返ってきた。
私はホッとして、大人な高臣さんに心から感謝した。そして、変わらず接してくれる永亮にも。
「言ったそばからお世話になってごめん! 送ってください……!」
「最初からそう言え」
そうして、永亮に案内されるがままに、私は駐車場に向かった。
傘を差していても意味がないくらい横殴りの雨。