俺様社長と溺愛婚前同居!?

 誰に見られるわけでもないから、どこもかしこも締まっていない。京本さんのように美容好きの人からすると、この緩んだ体はだらしなく映るのだろう。


「そうじゃないんだよ、俺が言いたいのは、君がすごく魅力的だってことで――」

「おい、京本。何やっている?」


 私たちの背後から冷ややかな男性の声がして、和やかな空気が一瞬で凍る。


「賢人……」


 この、株式会社シンクフロンティアの代表取締役である、鴻上賢人さんが現れた。

 百八十センチを超える長身だから、手足がすらっと長い。
 仕立てのいいスリーピーススーツに身を包み、モデルのようなスタイルをしている。
 男らしい顔立ちで、きりっとした奥二重の瞳は鋭い。

 他の社員たちとは違うオーラを放っていて、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。


「彼女の邪魔をするな。この人は仕事をしにここに来ているんだぞ」


 京本さんに絡まれていると思って、声をかけてくれたのだろうけど……。「この人」と呼ばれて、胸がずきんと痛む。

 ここの社員さんたちは、私のことを「結花ちゃん」と親しみを込めて呼んでくれるけれど、鴻上さんだけは違う。

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