俺様社長と溺愛婚前同居!?

 別に油断しているわけではなかったのだけど、男性からすると、そんなふうに見えているのだろうか。

 ここの社員さんたちは、皆愛想がよくて、部外者の私に対しても、平等に声をかけてくれる。それが嬉しくて、なるべく笑顔で会話をするように心掛けていた。

 それが油断していることになる……のかな。

 でもせっかく快く話しかけてくれているのに、愛想悪くすることなんてできない。素っ気ない態度をするなんて失礼にも思える。


「難しいな……」


 このお試し期間に気に入ってもらえれば、本契約を結んでもらえる。

 花蓮が産休に入るとなると、私がその分をカバーしなければならない。このランチ契約を取れたら、大きな収入になる。

 だから社員さんたちの胃袋をしっかり掴みたい。しかし社長さんに気に入られなかったら、本契約を結んでもらうのは難しいだろう。


「あああ……どうすれば……」


 答えの見つからない悩みに頭を抱えながら、手だけは動かし続ける。
 十二時ちょうどに今日のメニューがテーブルに全て並んだ。

 彩りを意識した盛り付け、男性の多い職場なので食べ応えのあるメイン料理。栄養バランスを考えた野菜中心の副菜と汁物。白ごはんは、契約農家から仕入れたこだわりのお米。
 土鍋で炊いたふっくらとした艶のある白米は、何杯でもいけるくらい美味しい自慢のお米だ。
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