俺様社長と溺愛婚前同居!?
「こ、鴻上さん……!?」
私の体を抱き寄せているのが、鴻上さんだと気づいて急いで離れる。
慌てていたとはいえ、取引先の社長さんに失礼なことをしてしまった!
「すみません、急いでいて……」
「何を急いでいたんですか?」
「ちょっと指を切ってしまって」
そう説明すると、キッチンペーパーを巻いているほうの手首をぐっと強く掴まれて彼の目の前に持っていかれた。
「血が出ているじゃないか」
「大したことはないんです、ちょっと切っただけなので。ただ血がなかなか止まらないので、テープか何かを貸してもらえれば……」
応急処置さえしておけば、こんな傷すぐに塞がる――と思っているのに、鴻上さんは鬼の形相で私の顔を睨みつける。
「病院に行くぞ」
「え!? いや……あの、大丈夫です。こんなの、大したことないので……」
「よくない。キッチンペーパーが真っ赤じゃないか」
私の意見なんてまるっと無視で、あれよという間にビルの地下の駐車場に連れて行かれてしまった。そして高級外車の助手席を開けると、乗るように顎をくいっと動かした。
「乗って」
「でも……」
「でもじゃない。急いで」