俺様社長と溺愛婚前同居!?
「はあ……」
そういうところが、うちの社員たちを翻弄させているのだ。
勤務時間にもかかわらず、社員が高梨結花を口説こうとしているところを目撃した。その都度注意をしてはいるものの、あんなものは氷山の一角だろう。
何なら、副社長の京本までもだ。
あいつは、高梨結花のような雰囲気の女性がタイプではないはず。その男までその気にさせているのは、なぜだ。逆に気になってきた。
「女子禁制にしてしまった反動だろうな」
ただの気の迷いだろうと思うことにして、応接用のソファに移動する。そして弁当箱を開けてみる。
中にはハンバーグとポテトサラダ、玉子焼きにナポリタンスパゲッティやプチトマト。おにぎりが三つ詰められていた。色鮮やかでクオリティの高いお弁当に目を奪われる。
「うまそ……」
思わず本音が漏れてしまった。急いで咳払いをして誤魔化す。
料理を生業にしているだけあって、感心するほど上手に作られている。
社長室の中なので誰もいないはずだが、念のため周囲を見て人の気配を感じないことを確認してから「いただきます」と合掌して食べ始める。
「うま」
高梨結花はあまり好きじゃないが、料理は文句のつけようがないほど美味い。あっという間に平らげて、ソファにどさっと体を預ける。