俺様社長と溺愛婚前同居!?
「どうしたもんかな……」
ハンバーグが好きだと言ったら、ハンバーグを作ってくる従順さに、ちょっとぐらっときている。
「気のせいだ」
と、口にしてみるものの、高梨結花のことを悪く思えなくなってきている。
料理(仕事)に対して一生懸命なところも好感が持てる。同じビジネスマンとして共感できるところも多い。彼女はプロの料理人として俺に対して真摯に向き合ってくれているのだろう。
だったら俺も同じように、彼女に対して態度を改めるべき考え始めた。
「女性だからといって一括りにして、無下に扱うのは失礼……だよな」
どう見ても使い捨ての弁当箱ではなさそうなので、返却するべきだと考えて店まで行ったのだが、本人は不在。
彼女の姉だという社長の横永花蓮に「妹なら、家にいます」と言われて、住所を教えられ、彼女の実家にまで行くはめになってしまった。
「どうして家まで……」
と思うものの、ここまで来たら引き下がれない。
そう呟きながら、言われた通りに彼女の実家を訪ねると、風呂上がりの高梨結花が出てきた。
いつも化粧っけのない顔だから、あまり変わらないものの、上気したピンク色の頬、濡れた髪、せっけんのいい香りのする彼女を見て、思わずドキっとしてしまった。
何を緊張しているんだ。相手は高梨結花だぞ。
気を取り直して、預かっていた弁当箱を彼女の前に差し出す。