灰色メメント
「初めまして、カヤと申します。こちらは、双子の妹のセシル」




身体の”右側”を持った若い女性──カヤが、店主に微笑みかけた。





右側のない妹・セシルと、左側のない姉・カヤ。





店主は一瞬で”結合双生児”だったのだと察してしまった。





結合双生児を切り離した片割れずつなのだと。





「これはこれは。ようこそお越しくださいました」





「ここの噂はかねがね聞いております。


私たちの願いは叶えられるでしょうか?」






そう言ったのは、”左側”を持つ女性──セシルだ。




「お任せ下さい。詳しい内容を教えてください」





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