極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
『椿生…………?』
畔がキスの合間に、口の動きでそう彼を呼ぶ。すると、彼の動きが止まった。
「……畔。名前、もっと呼んで。声だって聞きたい………」
『何?………何て言ってるの?』
やっとの事で力が抜けた腕を上げて、そう手話をする。すると、ポロリと畔の目から涙が溢れ落ちた。それを熱い指で、彼が拭ってくれる。
『寝室行こうか、って言ったんだよ』
手話でそう言われ、畔はゆっくりと頷いた。ここは部屋の廊下だ。寝室、という言葉で畔もこの後の事がわからないほど子どもではない。
畔は彼に支えられて立ち上がると、手を繋いで歩きだす。と、床に何かが落ちているのに気づいた。彼が先ほど貸してくれた上着だった。キスをされているうちに、手から滑り落ちてしまったようだ。椿生はそれを見て、『あれ、もういらないね』と笑った。
確かに、畔の体は汗ばむほどに暑くなっていた。