極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
27話「嘘つき」

    27話「嘘つき」


 
 畔は大きくあくびをしながらベットから起き上がり、キッチンに向かう。すると、リビングの大きな窓から太陽の光を感じた。随分高い位置まで上ってきている。畔は自分が昼過ぎまで寝てしまっていた事を知り、一人苦笑した。

 食事後、リビングで発声練習をし、新曲の練習をした。これからミニライブや動画配信はしようと考えていた。そこで必ず歌うことになるのは新曲だ。畔は、楽譜を見つめながらピアノの横に立って何度も何度も歌い続けた。
 自分の声が聞こえない畔にとって、喉の具合や雰囲気だけが頼りになる。ボイストレーナーの講師がいればその都度訂正が入るのだが、今日はいない。夜中の撮影後だったので、この日は1日オフになっていたのだ。
 畔は数時間歌を歌い続けた。感覚を掴むのに必死になった。
 それにこの歌を歌えることがとても嬉しかったのだ。
 畔は汗を流しながらも、笑顔で歌い続けた。
 畔が2本目のペットボトルの水を飲み終えた頃には、そろそろ夕食となる時間になっていた。
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