【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
車の入庫をお願いし、豪邸の前から真っ直ぐ伸びる、レンガで敷き詰められた美しい遊歩道を並んで歩く。
まるで緑豊かな自然公園のように、整備された青い芝生。
梅雨では珍しい、穏やかな太陽の光。
歩いてるだけで気持ちが晴れて、心が澄み渡ってゆく。
「社長、今からなにを――」
「――名前」
「え?」
質問を遮った社長に手を拾われると、そのまま腕が触れ合うところまで引かれた。
綺麗な眉間に、わざとらしくシワが寄せられる。
「デートなのに社長はおかしい。そろそろ名前で呼んでもらわないと」
「名前って――」
「―――永斗。
君といるときの僕は、社長じゃない。どこにでもいる普通の男だよ。だから⋯⋯永斗って呼んでよ」
「――――」
社長は少し顔を寄せて、拗ねたような表情を見せる。
か、可愛い⋯⋯。
じゃなくて。
確かに、休日に“社長”がおかしいのはわかるけど。
名前はハードルが高いというか
ちょっと気が引けるっていうか⋯⋯。
それに、呼んでしまえば、もっと心の距離が近づいてしまいそうな気がして、つい言葉に詰まってしまう。