【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「ここは、食用のバラを育てているんだ」
「食用って、バラは食べれるんですか?」
「どれもが食べられるわけではなさ。きちんと『食用』として育てられたものでなければ、いけない。身体に有害なものは、避けなきゃいけないからね」
そう説明しながら、手を解いた永斗さんは、一度バラの花園の奥へと消えていくと、ハサミを手にしてふらりと戻ってきた。
ニッコリと私に笑いかけて、
「来美、何色がいい?」
バラを背景に美しく微笑む。
わ⋯⋯バラが霞む⋯⋯。
もう、さっきの白馬にしろ、このバラにしろ、絵本から出てきたリアルの王子様にしか見えない。
いや、でも平常心だ。得意の仏頂面だ。
「おじい様のものなのに⋯⋯いいんですか?」
「もちろん。じーさんはなかなか忙しくて来れないから、君に食べてもらった方が嬉しいよ」