【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
下を向いている私には、永斗さんの表情はわからない。
でも、聞いたことのない彼の低い声色に私の心はすっかりズタズタだった。
いつも穏やかで優しい永斗さんが、こんなに怒るなんて⋯⋯。
私が隣にいなければ、嫌な思いすることも、迷惑かけることもなかったよね。
これでよくわかった。
私はもういるべきではない。
永斗さんは授賞式まで一緒にいたいといってくれたけど⋯⋯
もうこんなことになるのはごめんだよ。
やっぱり彼の隣には、それ相応の相応しい人がいる。
だから。
だから――――⋯
「―――⋯⋯さい⋯⋯」
「⋯⋯来美?」
「――っごんなさい!! かえります!!」
声をあげると同時に、涙がこぼれてきた。
胸が痛すぎて「さよなら」とは言えなくて、何度も謝りながら。
私は足元にあったバックを引っ掴み、勢いよくレストランを飛び出してエレベーターまで駆け抜けた。
「来美!!」
永斗さんの声が聞こえたけど、止まることなく走りぬいた。
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