【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
泣きながらホテルを飛び出したら、しとしと雨が降っていた。
永斗さんに追いつかれる寸前にエレベーターに乗れたのは運が良かったけど。
傘なんて持ってないし、でもタクシーでうちに帰る気分にもなれない。
「ゔっ――うぅ⋯⋯」
今はひとりになりたくない。
矛盾してるのは分かってる⋯⋯。
自分から逃げ出してきたのに、ものすごく惨めで、苦しくて、心が痛くてどうしたらいいかわからなかった。
路肩に延々とならぶ、タクシーの横を勢い走りさり
疲れて歩きだしたころには、水色のデニムはうっすら色濃くなっていた。
傘を手に、先を急ぐ人々の視線が突き刺さるけど、今はどうでもよかった。
頭の中はグシャグシャ。
自分から出てきたのに、頭の中は永斗さんのことばっかりだ。