【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
そして、濡れた地面を数歩踏みしめて、私の足元に黒い靴がやってきた。
「――僕はそう思っているけど。でも、君は違うかな」
「そんなこと――⋯⋯」
「――なくない。君は傷ついているから、僕の心配をしてくれるんでしょ」
大きな手が後ろから後頭部に回されると、そのまま永斗さんのシャツに押し付けられる。
鼻がぶつかって少しだけ痛いけど、湿ったシャツから甘くて優しい汗の香りがした。
頑張って涙を止めようとしてるのに、こんなことされたら止まらなくなるよ。
永斗さんに会うまで、こんなに泣いたことなんて無かったのに。
長い指先は髪を後ろへ流すように梳いてゆき、まるで暗闇で渦巻いている心を、明るい場所へ導くような優しさ感じた。
それだけの仕草で、自分がどれほど大切にされているのか、そして、私の全てが永斗さんを求めていると、そう実感せざるをえなかった。