王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「へぇ――⋯⋯『傷も心配』ね――」
「え⋯⋯」
社長のものとは思えない、どこか面白がるような、ちょっとバカにしたような声が耳に入って、私はそのまま硬直した。
今、社長が言ったよね?
確かにあの麗しい唇が動いたのを、目の前で確認した。
さっきまで、ものすごく紳士的で、一挙一動も優雅で王子様のようだった社長が、だ。
微動だにできず固まっていると、社長は形の良い顎に手を当て、ゆっくりと唇の端を吊り上げていく。
それは優雅な微笑みではなく、悪い笑みに近いもの。