【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「――――み⋯来美」
「⋯⋯ん」
静かに肩を揺らされる感覚で意識が浮上した。
目を開くとそこには、私を後から覗き込む永斗さんの美しい顔。
「こんなところで寝たら風邪引くよ」
「お、おかえりなさい⋯⋯!」
グレーの三つ巴のスーツに、緩められた紫のネクタイ。
飛び上がるように顔をあげた私を見て、碧い瞳が甘く緩んでいる。
一段落した私は、そのままデスクに突っ伏して寝てしまったらしい。
デスクの端には、冷めきったコーヒーとサンドイッチ。
ハウスキーパーさんが部屋に入ったことにも、帰ったことすら気づかなかった。
デスク上の時計をむんずとつかんだ。
「もう6時⋯⋯?! すみません。プレゼンの下書きが終わって、そのまま寝てたみたいで⋯⋯」
「遅くなってごめんね。夕食がそろそろ届くと思うから、向こうにいこう」
「⋯⋯届く?」
「ケータリングをお願いしたんだ」
け、けーたりんぐ⋯⋯!
デリバリーではないのか。
ふふっと微笑んだ永斗さんは、私の肩に背広をかけて書斎から連れ出す。
寝起きの身体がほんのり暖かくなった。