【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「真島⋯⋯?」
印刷を終えた、ブルーの半袖シャツに黒のパンツスーツの松田主任が、去り際に私のデスクの前で立ち止まる。
そんな珍しげに見られると、恥ずかしい。
「やっぱりおかしいですかね⋯⋯?」
「いや、綺麗だよ。すごく。びっくりしたけど」
いつもシャープな目元が真ん丸だ。
そこまで全身をまじまじと見つめられると、どうしていいかわからない。
「明日の授賞式で、ちょっと思い切ったことを考えていて、その準備でして⋯⋯」
指と指を合わせてもじもじしながら、聞かれてもいない事を告げると
「へぇ――いいじゃない。なら彼には、当日までの秘密のほうが良さそうね。」
主任は合点が行ったように大きくうなずいた。
「え?」と間の抜けた声をあげると
主任はイタズラに微笑み、
「がんばれよ」
背中を強めに叩いて爽快に自分のデスクへと戻っていく。
毎度のことながら痛い⋯⋯。
秘密にしなくとも、授賞式前で忙しい永斗さんがこのフロアに顔を出すとは思えないけどね。
――と言うのは口にはしなかった。
それにしても、松田主任にまで褒めてもらえるなんて。
美久プロデュース⋯⋯侮れない。