【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
その後、同期たちと話に花を咲かせている美久ちゃんと別れて、私はホールの中央にある一段高くなったステージを見上げていた。
毎年、神々しいほどのライトが集まるこの場所。
そこにはすでに、何度も自分が手にすることを夢見た、ガラスケースの中にあるソレが置かれていた。
漆鷲フーズのロゴをモチーフに作られた、鷲の姿をしたガラス細工のトロフィー。
今年こそは、手にしたい。
決意したように、大きく深呼吸をしていると
「あれを手にするのは、俺か、お前か」
後ろから革靴の音が近づいてきた。
振り向かなくても誰だかわかる。
だいたい、私たちの他にも参加者は沢山いるのに、相変わらず自信のあるやつ。
とはいえ、長年の付き合いである園部が最大のライバルであるのは私自身も解っている。
「今年は私がもらいたい。園部は去年もらったでしょ」
細身のブラックスーツにワインレッドのネクタイ。茶色の短髪を横に流したいつもより上品な園部が、スパークリングワインを片手に隣に並んだ。
顔を上げて視線を送ると、切れ長の瞳が一瞬揺れたような気がする。