【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
気づいてくれた。
みんな私のことを「誰?」って見ていたのに、永斗さんはいつもすぐに私のことを見つけてくれる。
そのまま視線は逸らされることなく、真っ直ぐこちらに向けられる長い足。
私の方も、バカみたいに永斗さんをじっと見つめていた。
そして、いつの間にか重役席を通り過ぎた彼は、周囲がざわめくなか
私の目の前でピタリと足を止めた。
「あ⋯⋯」
みんなの前なのに⋯⋯。
混乱のあまり、ワンピースのスカートを握りめ、ドキドキしながら黙って立ち尽くしていると、
よそ行きのスマイルを浮かべた彼は、そのまま腰を屈めてスッと手を伸ばしてきた。
「ワインがこぼれてるよ」
グラスが傾いた右手に重ねたあと、もう一方の手にハンカチを握らせ、柔らかい微笑みを浮かべる。
どうやら彼に見惚れるあまり、持っていたグラスから白ワインがこぼれて、ワンピースの胸元に小さなシミが出来ていた。
わっ! 何やってるの! せっかくもらったワンピースなのに!
それも期待しちゃって恥ずかしい⋯⋯
慌てて「あ、ありがとうございます」とハンカチで拭っていると