【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
一瞬だけ耳元にふんわりとした髪が寄せられて


「今すぐ⋯攫いたい」


甘い微やかなささやきが耳をかすめて離れてゆく。


「?!」


バッと顔をあげると、照れたように赤くなった目元が踵を返す直前にほんの少しだけ見えて、心臓がドキンとときめいた。


さ、攫いたいなんて⋯⋯!

それも今、照れてたよね⋯⋯?


予想を上回る甘美なセリフに、私の鼓動は加速したまましばらくおさまることはなかった。 





―――


18時半を回ると、授賞式がはじまった。

司会を務める営業部の部長がステージに現れて、例年通りの過程が和気あいあいと進行していくなか、私はひたすらステージを見つめていた。
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