【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「なにが良かったの?」
頭のてっぺんから柔らかい声がした。
心音、香り、温もり。
彼から感じる全てに、私の心は素直になって
「永斗さんを失わなくて本当に良かったです」
「―――」
「少しだけ、こうさせてください」
自分でも驚くくらいの、ストレートな言葉がぽろりと出てきた。
なにも反応しない永斗さんを少し気にしつつ、うっとりと目を閉じていたら
「――僕はそんなんじゃ足りない」
宣言するようにきっぱり言い放つ声が耳に入る。
「へ?」
聞き間違えかと思い顔を上げると
身じろぎした永斗さんが、私の膝裏と背中に手を差し入れて、軽々と持ち上げた。
「ひゃあ!?」
「⋯⋯もっと求めてよ、来美」
すとん、と降ろされたのは彼の膝の上で、落ちそうになった私は慌てて彼の首に抱きつく。
同時に、大きな手のひらが慈しむように私の頬に触れた。
ひとときの間をおいて視線をあげると、永斗さんがしずかに私を見下ろしていた。