【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「行く前に、少しだけ⋯⋯」
「⋯⋯んっ」
出発の前にスッと抱き寄せられて、そのまま覆い被さるように唇が塞がれる。
一緒に住むようになってから、一日に数え切れないくらい交わされるキス。
とっても濃密で、あまーくて。
永斗さんが満足するまで、なんどもなんども重なるから。
化粧をしようにも、リップは取れてしまうし
眼鏡つけていたら、毎回はずさなきゃならないし
だからどちらもつけていない。
眼鏡については、綺麗になりたいというよりも、それが一番の理由だったりもする。
「んんっ⋯⋯そ、そろそろ、行かないと⋯っ」
「しばらくできないのに⋯⋯」
たっぷり数分間キスをして。そっと胸を押して離れると、ションボリ顔の永斗さんがこっちを見ている。
ゔぅっ⋯⋯!
毎度ながら、この捨てられた子犬のような顔に、胸が撃ち抜かれる。
心がグラグラだ。
でも、これ以上してると時間も押してしまうし。
心苦しいけど。
「⋯⋯うちの両親もまってますし」
迷った末に、そう告げると
「⋯⋯そうだね、行こう。ご両親を待たせるわけにはいかない」
永斗さんは急にキリッとした表情をして、名残惜しそうに身体を離した。
ちょっと申し訳ないけど。
効果は絶大だ。
基本的に、永斗さんは周囲に迷惑をかけることを過度に嫌がる。(慣れ親しんだ人にはあまり効かない)
たぶん、『漆鷲』という名前を背負って生きてきたせいなんだろうけど、強引に推し進められそうになったときは、今みたいにやんわり盾突くことを覚えた。
なんて言ったら、たっぷりいじわるをされそうだから言わないけど。
操縦方法は覚えておいて損はない。
きっと島田さんとなら、この件についてわかり合えるはずだ。