【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
ふと、思い返すのは、プロポーズがあった翌週、なかなか挨拶にいけないからと電話で挨拶をしてくれた永斗さんの姿。
両親を不安にさせないために、こと細やかに自己紹介と現状を説明文した上で、この日のセッティングまでしてくれたのは彼だ。
二人とも「来美が結婚できる」とよろこび、後日私にかかってきた電話からは、スマホを遠ざけていても興奮気味のお母さんの声が聞こえてきた。
緊張なんてする必要はない。
永斗さんの緊張している横顔を、そっと見守った。
私からすれば、王子様のような彼に、この純和風の古びた家屋に入ってもらうことのほうが心苦しくて仕方ないというのに。
そして、何より⋯⋯
これからどんな事態になるのか予想できているため、頭が痛い。
汗がとまらないのは、猛暑の影響ではない。
若干ドキドキしながら、彼を実家のアプローチへと促し、玄関へと導き
⋯⋯家族が粗相をしませんように。
半ばそう祈りながら、引き戸に手を掛けた。