【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
それから一時間ほどしたころ、ようやく『漆鷲家』に到着した。
高級住宅地の最高峰と言われる、田園調布。
その中でも最も立地がいいとされるその場所に、永斗さんの実家はあった。
厳重な背の高い門が要塞のようにそびえ立っていて
その入口に車を止めると
「おかえりなさいませ、永斗ぼっちゃま」
出迎えた警備員さんが門を開いていき、お礼を伝えた永斗さんは、車を中へとゆっくり進めていった。
まさに別世界の光景に唖然。
おぼっちゃまなのは、わかっていたけどさ。
想像を上回り過ぎていて、口が塞がらない。
こんなのドラマでも見たことないよ。
ダラダラと全身から汗が溢れ出してきた。
「こ、ここが⋯⋯永斗さんのご実家?」
「うん。そうだよ」
車を預けた私たちの目の前には、洋館ともいえる巨大な豪邸。
それも、敷地内にいくつか建っている。
永斗さんは何もいわなかったけど
うちの実家なんて、永斗さんのご実家の一部屋にも満たないんじゃ⋯⋯?
今更、恥ずかしくなってきた。
そして、こんな一般家庭の田舎娘をご両親に受け入れてもらえるのか⋯⋯今になって心配になってきた。
ああ、さっきの永斗さんの緊張はこんな感じだったのか。
ばっくん、ばっくん、心臓が壊れそうだ。
「そんな、緊張しなくて大丈夫だよ。両親もじーさん喜んでるから」
ゔっ⋯⋯さっきと逆の立場!